2022年12月
どうもメックサンダーです。
タイトルで分かった方、ありがとうございます。
「げんしけん」という漫画の話です。
(画像は楽天にリンクしています。)
最近、初めて読んだのですが、すごく良かったです…。
20年ほど前に連載が開始した作品なので、当時ならではの感覚とか言葉とか、そういう諸々も蘇ってきて。
それについても語りたいのですが、今回は別のことを話させてください。
(以下、ネタバレがあります。)
作中に、大学生の笹原(ささはら)と、その後輩、荻上(おぎうえ)の恋愛描写があるのですが…
笹原さん(左)と荻上さん(右)
(画・メック)
これが、私に、どストライク…。
ここしばらく毎日、その2人のシーンばかり読んでいました。
ええ、読んでいました(2回言う)。
この2人の恋愛関係のことを俗に「笹荻(ささおぎ)」と呼び、多くの読者が魅了されてきたという…!
分かる、分かるよ…!
笹荻には、ずっと
こんなやりとりを
していてほしいーー!!
(クソデカ心のボイス)
ご多分に漏れず、私もそう思ったのです。
それはさておき…
なぜこんなにグッときたのか??
それをちょっと考えていたら、分析したくなってきたというか、なんだか語りたいことが増えてきましたので、ここに吐き出してみます。
目次
欠かせない存在?
多くの読者が笹荻にグッとくるということは、何か理由があるはず…。
作者さんの漫画が上手だった!と言ってしまえば、それまでですが…。
一般的に言っても、例えば、お互いにとってお互いが欠かせない存在であるとか、そーゆー特別な関係性がそこに描かれていると「強い」のではないかと考えます。
そして実際に、2人が結ばれる過程で、荻上にとって笹原が欠かせない存在であったことがキーポイントになっていたと思います。
2人の距離が近づいていく時に、(荻上の相手が笹原じゃなかったら、これはうまくいかなかっただろうなぁ…)と思う場面がありました。
そう、荻上にとって、笹原はまさに絶妙な存在。
しかし、一方の笹原にとってはどうか?
こんなことを言うと反感を買うかもしれませんが…。
はっきり言って、私は、荻上が笹原を必要としているくらい、笹原にとって荻上が欠かせない存在とは言えなかったのではないか?と思っています(!!)
現視研(げんしけん)という場があっての出会いですが、もしかしたら相手が荻上じゃなくても、笹原はそこで出会った誰かとフワッとくっついていた可能性はあったかもしれない、そんなことまで思っています。
笹原が、荻上のことを初めて強く意識したきっかけ(荻上のコスプレ)は、実にリアルでした。
その日、普段とは全く違う荻上の姿を見た笹原は、家に帰ってからも彼女のことが頭から離れませんでした。
ギャップ萌えというやつ?視覚にガツンと来たのでしょう。
家路にも
あの娘のコスプレ
帰らない
思わず私も詠んでしまうくらいです(?)
以降、笹原は荻上のことが何となく気になりだし…そして、周りからのサポートもあり(?)、荻上と深く関わっていく中で、彼女を大切に想うようになるのです。
ただ、これは、現実にもありえそうな話だけに、それだけに、特別な関係性という意味でのパワーは弱いのかな、と…。
じゃあ、やっぱり、なぜ?
なんでこんなに笹荻にグッとくる?
荻上にとって笹原が必要で、笹原もそれに真剣に応えて、、
それは素晴らしいのだけれど、このグッとくるメカニズム、それだけじゃないような…。
もう少し笹原を掘り下げてみます。
個性のない主役?
「げんしけん」の主役は誰でしょうか?
個性あふれる登場人物がたくさん出てきますが、これといって主役が決まっていないような、そんな印象があります(作中に、「主役はわざと限定しなかった」というようなメタ的なセリフもあった)。
彼ら一人一人が、主役のようでもあり…。
ただ、この漫画は、笹原が現視研に入るかどうか悩む場面から始まるため、笹原は間違いなく主役の一人だと言えると思います。
ちょっとストップ。
「個性あふれる登場人物がたくさん」と書きましたが、笹原からだけは、あまり個性を感じません。
見た目は、、「普通」(とりたてて特徴なし)
性格は、、「普通」(温厚だけど怒る時もある)
好きなものは、、「漫画」「格ゲー」(そして「エ○同人誌、エ○ゲー」を好きなこともバレている)
そう、彼はそんな、どこにでもいそうな、平均的オタク大学生です。
周りに比べ、彼だけが、なんか、驚くほど「普通のオタク」です。
これはつまり、この漫画の中で、笹原は「個性のない主役」であり、そんな「普通」の人ならどう感じるか、思うか、行動するか、そんな役割を与えられていたのだと思います。
ちょっと変わった出来事が起こった時に、笹原が「普通」の反応をしてくれるから、お話に「そんなこともあるかもしれない」という説得力が出ています。
先ほども少し触れた、笹原が荻上を意識するきっかけがリアルだったという話ですが、それも笹原の「普通」を実に上手く表現しているのだと思います。
その後も、笹原が荻上を意識して、焦ったり、戸惑ったり、心も体も色んな反応(*'ω'*)ウオオー!をしますが、どれもこれもリアルです(作者さん本当に上手い…)。
そして、同時に、笹原は、この漫画の読者の平均値でもあります。
笹原の姿は、等身大の、いつか通ったあの日の読者自身(オタク)の姿なんだと思います。
つまり、笹原を通して、読者が、ちょっと変わったことの起こる現視研を、リアルに体験しているのです。
この漫画を読むと、「青春ってエエな~。あの頃は楽しかったなあ~。」と感じる人が多いと思いますが、その追体験のようなものを感じる上で「普通の笹原」の存在が重要なのではないかと思います。
恋人はエキセントリック?
笹原のことをすごく真面目に考えたところで、今度は荻上の話をさせてください。
彼女は笹原と違って、初登場から個性バリバリです。
髪型は筆なの?
そしてあろうことか、現視研に入ってきて、いきなり「オタク嫌い」を公言します。
それなのに、自身も重度のオタクであることがソッコーで露呈し、逃走します。
読者にも、現視研メンバーにも、この時点での彼女の行動はちょっと意味不明です。
謎の自己否定を抱えたエキセントリックなオタク、それが荻上でした。
しかし、ここから巻き返し。
お話の中で、なぜ荻上がこういう人なのか、なぜそういうことをしてしまうのか、少しずつ、時間をかけて明かされていきます。
その過程も、ヒジョ~に上手かった。めちゃくちゃ伝わってきました。
そして、荻上が抱えていたトラウマをすべて知った時、何のことはない、彼女も元々、いたって「普通」なオタクであることに読者は気づきます。
荻上は、笹原の人柄やその素直な笑顔に惹かれていても、過去のトラウマから自分を責め続けて、前に進めないだけ…。
もう、彼女はエキセントリックではない。
そして笹荻に陥落
荻上のトラウマの原因になっている出来事を、「不運」という風に捉えて、
オギー!(※荻上)
お前さん…!
あんまり自分を責めるんじゃないよ…!
という気持ちになったら、もう感情移入は完了です。
無論、荻上の本質を理解した笹原(と読者)は、彼女を許容します。
ここまで作者さんが丁寧に積み上げてきた、荻上の背景が活きています。
そして、、
ついに、、
荻上が、、
心を開きます(すごく不器用に)!!
そんな荻上が…
そんな荻上が…
かわええええええええええぇぇぇぇぇ!!!!
(悶絶)
ツンデレか!?
これはツンデレか!?
いや!
ツンが解けきってはいないからデレではないか!?
分からん!!
かわいい!!
(結局、叫ばないと表現できませんでした。すみません。)
そして読者にリアリティを与える、読者の分身でもある笹原が、そんなクッソかわいい荻上と…
キャーーーー!!
ササヤーン!!(※笹原)
照れちゃって!!
もう!!(///´`///;)
青春か!?
おん!?
青春か!!
よくやった!!
ササヤーーーン!!
取り乱していますが、読むと本当にこんな感じになります。
そりゃグッときます。
この勢いで、あえて言わせてもらいます。
笹荻にグッときている奴の大半は、荻上のかわいさに陥落したんだよッ!!
そう、
お前もなッッ!!!!
(自分へ)
【笹荻とは】
荻上が持つ特別なエピソードに、笹原が持つ普通さがリアリティを与えて起こる化学反応。
特別と普通、奇跡のマリアージュ。
荻上クソかわいい。
(何を言っているのか…?)
こうなるとですね、もう、
笹あっての荻…!
荻あっての笹…!
2人あっての笹荻…!
なのですよ。
いやー…たまらん。
これは良いものだ…!
皆様、これからも良い笹荻を。
ありがとうございました。